あるがまま

あれよあれよと広がるコロナウイルスの猛威によって、三月の予定表は一つ消え、二つ消え・・・いつの間にかまっ白に。そしてその勢いが四月の予定表にまで侵入して・・・。フウ、まあ人生色々、人間の小ささ、弱さ、傲慢さとつくづくと思い知らされています。

でも、こんな時こそ、自分を知り、試す良いチャンス。今遣れる事を一つ一つ確実にと、「自分のレパートリー」十作品の稽古。洗濯をいつもと変わりなく、月初め、月半ばに小宮公園で。気分転換にもなり気持良い。朝早く出かけ夕方まで、弁当、コーヒー、お菓子持参でユッタリと。さらに週一度、今回止むを得ず延期となった「起てハムレット」、七月公演予定の「むかしあったとさ」、さらには来年公演予定の「五重塔」の稽古を清水公園で。こちらは朝出かけ昼まで約三時間。コーヒーを一本妻に用意してもらい、飴三粒でOK。こちらも気分転換としては最高。さらに、さらに、朝のトレーニングに加えて、夕方三十分程度の軽いトレーニングを。これは家の近くの遺跡公園で。「精が出ますね」との御婦人方の、激励とも冷やかしとも判断しかねる声を背に受けながら黙々と。まあ、やれる事を一つ一つ確実に。それが人生、それが私・・・。まあ、こんな事も人生有るさ・・・。

図書館が閉じられたので仕方なしに家に有る本、それも長期戦を覚悟して、腰を落ち着けてじっくりと取り組める奴を見繕って。

「月間マンガ少年別冊『火の鳥』」(手塚治虫作)①~⑨をじっくりと。コマの展開の仕方、テンポの良さ、アップ、ロングのやり方の巧みさ等々、大いに演出の参考になる。それにしても何年ぶりに読んだのだろう。次に「月間マンガ少年別冊『サイボーグ009』」(石森章太郎作)①~②を。前作に同じ。文字を出さず、絵だけで勝負しようとするシーンに作者の凄みを感じる。さらに中央公論「大乗仏典」全十五巻を読了。(そんなにも非日常の時間が何の前触れもなしに与えられたという事です)日記を繰ってみると以前読んだのは2014年。こんな偶然が降りかからなければ再度目を通す事もなく終ったかも。そう考えてみればこれはこれでありがたい事かも・・・。

 あるがままに生きる

 行く河の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず・・・

 空

 完成という事は、人間の、人類の歴史には有り得ない、全てこれ中途で終り・・・

 それを土台に人生を生きる。

 その中で俺は演劇という人生を選択した。

 俺はその選択を、

 つまり演劇という人生を、

 成功も、失敗も、賞賛も、嘲りも、名誉も、褒賞も、そんな何もかもを当り前の事と受け止めて、

 黙々と、喜んで、生々と、工夫に工夫を重ねて、やり続ける、やり続けられるのか。

 えっ、その覚悟、勇気、努力、体力、気力があるのか・・・えっ、どうなんだ・・・。

 やる、やります、だって、それが私の選択した道だから・・・・・。

 「大乗仏典」は読む度事に、重い課題を私に突き付ける。ありがたい事です。

次は、そう「近松全集」(岩波書店)に取りかかろう。全十七巻・・・コロナウイルスが終息して、途中でその冒険が終りになってくれればよいのだが、どうなる事やら・・・。

ああ、明日(あした)、天気になーれ!・・・・・