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大多和 一覧

猫の呟き

整理

演劇に具体的に関わってから、(「舞台芸術学院」入学以来)気になって手元に置いておいた戯曲を読み直している。

きっと、いつの日にか、再度、演じてみたい、演出してみたいと思って、手元に置いてあったもの。

読み直してみると、大方のものが、今は不用のものになっている。そう、今の私の条件下では、それは不可能、つまり不用なものになってしまったのである。

私達はたった一度の人生を、それぞれの条件の元に生きる、生き続ける。「あっ、しまった」と思ってもやり直しは出来ない。その時は、「又いつか」と大切に手元に残したものも、今の条件下では(身体的、経済的、その他諸々の原因で)不可能、不用のものとなってしまうのである。

そう、人生は、やれる時に、それをやるか、やらないか。どんなにやりたくても、やらない限り、自分の人生とは無縁のもの。

そう人生って、無情。一回勝負。

だから楽しい。だから大切。

猫の呟き

ゼイタクな春

昨年十二月から今年三月の公演まで、月一度の手伝いを、マーチ・ウインドウから頼まれている。作品は「夜の来訪者」。素晴らしい作品、意欲をそそられる。そして劇団と出演者の積極的で意欲的で、しかも素直な態度が私の創作意欲を心地よく刺激する。

先日、第二回目の稽古(私にとっての)があったが、午後一時から九時までの稽古が、あっという間に過ぎ去っていった。

前回のアドバイスが出演者それぞれ自分の物として見事に消化されていて、すぐに次の段階の稽古へと進める体制になっている。そして全員、新たな課題に積極的に立向っていく。

一緒に参加し、創っていて実に気持がいい。愉快だ。幸福な気持になる。私もどんどん前向きに参加していく。こんな事は久し振りだ。

終って、次の段階への課題を提示。

そう、働きながらの劇団活動、決して楽な条件下で参加している訳ではない。泣きたくなる事、止めたくなる事も多々有るに違いない。でも、好きだから、創りたいから・・・。楽しんで下さい。無理しないで下さい。(少しは無理しなければならない事も多々有りましょうが)そう、続けて下さい。創り続けて下さい。

応援します。私で出来る事は!

今月は四月に公演予定の「銀河鉄道の夜」の劇団スタッフの前での初めての稽古も。

三人で創っていた作品を一人で・・・。

ドキドキします。でも、創ります。

月末には五日市での第二回目の門付け公演が。

盛り沢山なゼイタクな春になりました。

今年も、よろしく、お願いします。

大多和勇

猫の呟き

十二月一日、あきる野市五日市の「喫茶去(きっさこ)けやき」で「注文の多い料理店(序)」「注文の多い料理店」「虔十公園林」の投げ銭公演を上演しました。畳一畳ぐらいの演技空間で、十二名の観客で満席の小さな公演空間。何しろ、すぐ目の前、鼻の先にお客様が。まるで立って演じる落語のよう。でも、こうした公演も私が以前から望んでいた公演形態の一つ。ドキドキし緊張したが、楽しめました。おかげ様で評判も良く、その場で一月の公演も決定。演目は「あそこの田はねえ」「革トランク」「なめとこ山の熊」。うれしい限りです。

以前から付き合いのあった「マーチ・ウインドウ」川本出雲さんからの依頼で「夜の来訪者」公演の助言者として2025、3、22~23公演に向けて月一回参加する事に。そして第一回目として十二月七日「読み合せ」に午後一時~九時三十分まで参加。十何年振りに出合った役者もあり、毎年のように御一緒する人もあり、初めての方もあり、でも楽しかった。夕食を挟んでだが八時間三十分の稽古が出来た自信はうれしかったし自信にもなった。(でも過信は禁物。年令、体調をよーく考えてね。・・・うん)

さて、今年も色々と有りました。しっかりとたのしめました。来年も、年令、体調を考慮しつつ大いにたのしみたいと思っています。

よろしくお願いいたします。

皆様方にとって良いお年でありますように。

猫の呟き

「標準語」って何だろう

先日、四国ラボチューターの研修会に講師として呼ばれました。

「フレデリック」「だるまちゃんと雷」「はだかの王様」を題材にしての表現活動です。どなたも意欲十分、楽しい研修会でした。その研修会で「はだかの王様」を「方言」つまり普段自分達が用いている、「関西弁」(この「関西弁」なるものも、多々、済々なのだそうですが、アバウトに考えてもらって「関西弁」として)と「土佐弁」でやってもらいました。つまり「はだかの王様」の喜劇性を感じてもらう為には、導入部としてそれが面白いだろうと考えたからです。

結果は、「大成功」!

その面白い事!弾け方の凄まじき事!乗りの深くて軽き事!「はだかの王様」の喜劇性を身体全体で表現してくれました。が、その後で「標準語」で表現してみると先程の「方言」で表現した事の何分の一しか喜劇性は表現されません。はて、はて、はて・・・。

チューター達は言いました。「標準語」でやるよりは「英語」でやる方がいいよね。だって「英語」でやった方が乗れるし、リズムがあるし、感情が入れやすいもの・・・

「標準語」って難しいよね・・・。

「標準語」しか知らない、しゃべれない私。そして「標準語」で表現活動をしている私。でも、チューター達の表現活動に「講師」として参加した私にも、何かチューター達の気持が分かるような気持にもなりました。

「言文一致」としての「標準語」。「全国統一語」としての「標準語」。

その力は認めるとしても、「標準語」が本当に魅力ある、豊かな、力強い、「標準語」になる為には・・・。

「言葉」を生業(なりわい)としている私にとって、色々と勉強になった研修会でした。

猫の呟き

目的へ向って

来年上演したいと思っている「銀河鉄道の夜」、「一老人の回想」としてまとめようかと思っている。

ある男が自分の子供の頃を回想して、あの時の「今」と、回想している「今」とを行ったり来たりして。夢の物語だからこれも有りか・・・。となるとあの時、夢の中で聞えたメロディーも、音も、全て老人の声で表現する・・・うん・・・。難しいかも知れないけれども、分かりづらいかも知れないけれども、面白いかも・・・。

よし、これでまとめてみようか。

でも、一時間ちょっとの舞台。登場人物は私一人だけ。装置はバック幕だけ。照明はパー明かりで変化なし。メロディーも、効果音も全て私の声で。・・・うーん・・・。でも、「くすのき」を発足させてから今日まで、本当にお世話になった宮沢賢治さんに心から「ありがとう」を言う為に、「語り芝居」を最後の最後まで創り続けていく為に・・・

そう、やってみよう。そこへ向って!

「チェーホフ全集」第十五巻まで読了。残りは三巻。今年中には何とかなりそうだ。今の私にはチェーホフは「かもめ」「ヷ―ニャ伯父さん」「三人姉妹」「桜の園」の劇作家。小説は、その戯曲を豊かにする為の素材。

今の私の読後感です。

猫の呟き

もー、いいかげんにしてよ!

七、八月の猛暑。九月になって秋が近づいて来るかと思いきや、連日の酷暑。

おかげで身体はボロボロ。

そんな毎日の中で最低限、やる事だけはやらなければと、来年の「銀河鉄道の夜」の最終稿の仕事。それが済んで来年へ向けての稽古。週二~三回のペースでヘトヘトの身体に鞭打って。そう、舞台に立つのは私。

やらねばならぬことはやらねば。

無理をしてやっていると人間欲が出る。再来年はどうしよう・・・。やれるかやれないか分からないが準備だけはしておいた方が・・・。

そうだ、太宰治が面白そうだ。うん、そうしよう。音読で面白いのは、夏目漱石、宮沢賢治、太宰治の三人との事。漱石、賢治はすでに上演したが太宰はまだやってない。そう、やってみるか・・・。

そして、酷暑の中での、台本創り・・・。ふう、終った。が、これは第一稿。スタートラインに立っただけ。テープに吹き込んで、何回も聞いて、稽古が始められる第二~三稿を創らなければ・・・。が、だめ、そのエネルギーが今は無い。テープに吹き込む作業は、秋が来るまでお預け・・・。

おーい秋よ、いつになったら来てくれるんだー。

後はゴロゴロして、チェーホフ全集をボチボチと・・・。この全集に目を通すのも、もう何回目だろう・・・。

おーい秋よ、早く来―い!

猫の呟き

喜多方はやっぱり暑かった

喜多方へ行って来ました。

八月二日、久保田氏の運転で十時に自宅を出発。この処の暑さで睡眠不足、体調も思わしくなく、昼食時と休憩時以外は後部席でウツラウツラ。午後四時三十分頃、昨年も楽しんだ日帰り温泉着。いそいそと入浴。と、熱い!すごーく熱い!昨年はあんなにもゆったりと楽しめたのに。早々と温泉を出て宿へ。夕食は一人で部屋で。

翌朝、四時頃起床。部屋で身体を動かして(約四十分)それから今日の公演のセリフをゆっくりと確認(約一時間)。昨年は近くの神社の境内でやったのに、今年は部屋で。こういうところで「年かなあ」と感じてしまう。十時過ぎに本部へ挨拶に行って、それから今日の会場へ。蔵なのに何だかモダーンな感じ。四メートル×四メートルの舞台を設定し周りを半円形に椅子や縁台で囲む。三十名ぐらいは坐れそうだが、そんなに来てくれるのか・・・。昼食は蔵の持ち主のお店で喜多方ラーメンを。蕎麦もおいしそうだった。

午後二時からゲネプロ。脇が全てガラス窓。お店への客の往来がはっきり見えるし、お客様の方でも「何をやっているんだ」とこっちをチラチラ。午後四時頃からバック幕の後ろでメーキャップをして衣裳を付ける。ドラムセットやアコーディオンやマイクが私を見ている様、何だか落着かない。

午後四時三十分、客入れ。シーンとしている。やっぱり客は少ないようだ。としばらくして椅子を運ぶ気配が。「お客が一杯で客席を増やしているんです」やがて、実行委員の始まりの挨拶。「では、くすのきさんお願いします」で舞台へ。超満員、周りは全て、人々々。「注文の多い料理店・序」「注文の多い料理店」「なめとこ山の熊」「雨ニモマケズ」を御客様と共同創作。脇のガラス窓の事は少しも気にならずに楽しめた。

終演後暖かい拍手をいただいた。小学生も、中学生も、大人も皆拍手・・・。ありがとうございます。送り出しで「十三年ぶりでくすのきさんとお会いできました。ありがとうございました」「又お会いしましょう」と声を掛けて下さる・・・ありがとうございました。又、又・・・。

「くすのき」の甲子園、喜多方公演は、今年も熱かった!

八月十六日台風下、中野ZEROホール大ホールでZEROキッズ三十周年記念ミュージカル。台風の中でよくこんなに沢山の人が・・・。三十年もの長い間、良く子供達を見守って、ミュージカルという大変な事を創り続けたもの。お母さん達のすごさにただ拍手。この間ずっと演出としてお手伝い出来た事は本当に楽しく、そして勉強もさせていただきました。ありがとうございます。これからもフレーッフレーッ頑張って下さい。

猫の呟き

まだ遣れそう

七月十二日。羽田空港近くの大鳥居のホテルで一泊。翌七月十三日午前五時三十分にホテルの車で空港へ。三連休の初日。空港は人人人の波。ようやく手続きを終えて後は出発を待つばかり、疲れた。飛行機は何事もなく松山空港へ。ラボのお母さんの運転で今治へ。標葉チューターと何年かぶりに再会。美味しいお寿司を頂く。食べても、食べても、美味しさが続く。新鮮なネタはこんなにも美味しいのか。それから「マクベス」上演の会場へ。すでに開演二十分前。照明を受け持ってくれるお父さんと簡単に打ち合わせて、衣裳を着がえ終るやいなや「それではお願いします。」約五十分間。恙無く終了。終って「御挨拶をお願いします。」の声で客席が明るくなる。と、約百名ぐらいの観客が。小さな幼児から八十代位までの巾広い観客。半分は子ども。

「こんな子どもの多い観客の前で「マクベス」を演じたのは初めて。途中、泣き声も無く、歩き廻りもせずに、観ていてくれた。」

泣きたくなる程嬉しかった。着替える間も無く徳島の後藤チューターが十一月のワークショップの打ち合わせにやって来る。そして打ち合わせが終らぬ間に「後半のワークショップを始めてもいいでしょうか。」と岡本チューターの声が。急いで着替え、ワークショップを。「三びきのやぎのがらがらどん」をメインに。さっきの観客がほとんど残ってくれたよう。約二時間のワークショップを終えて夕食のお弁当を皆んなで食べて、七時から「ハムレット」のワークショップ約二時間半。翌日の打ち合わせが済んでホテルに着いたのが十時頃。シャワーを浴びて就寝。

七月十四日。バイキング形式の朝食を取り、八時三十分迎えに来てくれた岡本チューターと車で今日の会場へ。「はらべこあおむし」のワークショップを幼児とお母さん達とで楽しむ。約三時間、子どももお母さんもニコニコと楽しんでくれた。昼食はうどん関西風の味付け。午後一時から六時まで「ハムレット」。昨日よりは子ども達は熱心に取り組んでいる。夕食の弁当を皆んなで食べてから、お母さんをも交えての話し合い。ホテルへは午後八時三十分頃に着いて、のんびりと入浴し就寝。

七月十五日、朝食を済ませ午前八時二十分頃、岡本チューターと車で今日の会場へ。九時より「雷小僧」のワークショップ約三時間。昼食は岡本チューターの手作りの混ぜご飯を。午後一時から「ハムレット」のワークショップ。空港へ出発するギリギリの午後四時まで。(小学生から大学生までが熱心に、楽しそうに、彼等の「ハムレット」を創っているのを見ていると、「頑張れ頑張れ。もっともっと面白い作品に成る様に」と応援したくなる。)

岡本チューターの車で松山空港へ。空港のレストランの郷土料理をご馳走になり、羽田へ。八王子駅に着いたのが午後十一時三十分。タクシーで自宅に帰り、シャワーを浴びて就寝。疲れはしたが、まだ出来そうだ。欲張らずに楽しもう。

猫の呟き

本当にあなたの欲しいものは一体何ですか


現在、飽きもせずに、「銀河鉄道の夜」の稽古に励んでいる。いや、稽古ではない。稽古の前段、いや、前段のその又前段の状況かもしれない。とにかく稽古らしきものはしているが、それがどこへ行き着き、どうなるかは皆目見当が付かない。とにかく、飽きもせずに喜んで、いそいそと励んでいる事は確かである。そしてその間に、常に、毎回のように、立ち止まり、突き当る処、それは、そう

本当に、あなたの欲しいものは、一体何ですか

この一事。

自分は、芝居が好き、表現が好き。後は、まあ好きな事もあるにはあるのだろうが、芝居、表現程、すぐに「これ!」というものは見当たらない。

では、その自分の好きな芝居、表現を、誰に、どうやって届けたいのか、共有したいのか、又それは可能なのか・・・。

そう、その相手は、共同者は、今現在「生きているその人。そして自分の芝居、表現を批評し、賛同し、応援してくれるその人」

となると、どうしても今と関わりを持たざるを得なくなる。今、この現在。今・・・今・・・今。

ここで考え込んでしまう。

今、「損得」で全てを割り切る今。

「便利至上主義」の今。

「ゆとり、廻り道」を嫌う今。

そして、そんな今を嫌い、付いていけない(付いていきたくない)自分。

・・・

そんな状況で、そんな今の中で自分は芝居を、表現を創造出来るのだろうか、又それは届くのだろうか・・・。しかし誰かが、きっと誰かが、批評し、応援し、共同してくれる。そう、その可能性に賭けよう。

本当に、あなたの欲しいものは、一体何ですか。

猫の呟き

やあ、又次のステージに

この頃どうも体調が変だ。特別にどこが悪い、変だというのではない。いつもの様にはいかないで、「あれっ、あれっ」という感じが残る。それがしばらくつづいて「ははあ、あれか」と納得する。

そう、体も、感覚も、七十代におさらばして、八十代のステージに移行したのだ。

この感じは七十代になってしばらくして初めて感じた事。

それまでは年を重ねてはいても、ガクンと変わったという感じはなかった。しかし七十代になってしばらくたってから「あれっ、何だか変だ。いつもと違う」というショックがあった。それがしばらく続いてから「ああ、これが老年になる事なのか」と納得がいった。そしてそれに対応した行動を考え、組み立てた生活を過した。

そして今、そう、もう一段上の「老年」に差し掛かったのだ。

そう、長生きするのも難しい。その段階段階に対応した生き方をしなければ人生楽しめない。

さて、今度はどう対応していくか。しばらくは右往左往の時期が続きそうだ。

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プロフィール

演劇企画「くすのき」は1988年(昭和63年)に、大多和勇、あきなんし、高塩景子の三人で結成。語り芝居という表現方法で宮沢賢治、夏目漱石、説経節作品を上演。2015年7月東京都国立市に劇団事務所移転。代表高塩景子

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