又、旅が始まりました

「吾輩は猫である」公演から八日。沢山のお客様に足を運んでいただき誠にありがとうございました。気持の整理も付き、坪内逍遙役「シェークスピア全集」を読み始めた。これで何度目だろう。(もしかして、これが最後かも)

「シェークスピア」には今まで何度も挑戦して来ました。最初は俳優学校卒業後入団した「青年劇場」の「十二夜」アントーニオの役。次は「真夏の夜の夢」のフルート役。それから「ロミオとジュリエット」のベンボーリオの役。ここまでは青年劇場時代。飛び飛びではあるが七年間ぐらいは舞台に立った。

その後は自分達で結成した劇団での「十二夜」サー・トービー・ベルチの役。ここからは全て台本作りも、演出も、私自身で。で、その時から坪内逍遙との関わりが始まりました。坪内逍遙訳の何に引かれたのか。そう、それは台詞(セリフ)が芝居の台詞として訳されているからです。

何を当り前の事をと言うかも知れませんが、これは芝居を実際に上演する者にとっては最も大切な事。理屈ではなく感性の問題なのです。

俳優学校で教えてもらい、今でも大切にしている事の一つに「台詞は歌い、歌は語れ」という基本があります。これは難しい。本当に難しい事です。でも、これは基本中の基本。これが出来てこそ、舞台は「文学」ではなく「芝居」になる。「坪内逍遙」訳はそれが土台になっている。そしてこの「台詞は歌い、歌は語れ」を土台に、「マクベス」「リア王」「十二夜」「ロミオとジュリエット」「コリオレーナス」「ハムレット」「ウィンザーの陽気な女房」の台本作りをし、演出、役創りをし、シェークスピアに挑戦し続けてきました。私はシェークスピアが好きです。大好きです。ならば、次は、そう「マクベス」を。

「一人語り」で題は「マクベス一代記」

じっくりと創り、楽しんで。その為にも坪内逍遙の面白さ、難しさを再度勉強し、それを生かし、役創り、演出の糧に。

さて、始まりました。舞台創りの旅が。無事、皆様方の前に立てるよう、体力、気力、創造力に気を付けながら、一日一日、一つ一つを楽しみながら旅を続けます。

乞御期待!