五月二十五~二十七日「ことのみ」という市民サークルから頼まれて、一日一ステージずつの「夢・マクベス」という芝居を演出した。市民サークルの創造についての諸々の課題を突き付けられた。

一、時間の制約。稽古は月一回、午前九時~午後五時までの八時間。上演間近になるとそれが二回、その上に自分達だけの自主稽古が週一回の割合で入ってくるそうだ。今回は、昨年三月から稽古が始まったので十五ヶ月間で三十二回。つまり平均すると月二回、十六時間の稽古という事になる。(その上に彼等だけの自主稽古が加算される)

それでも今回の一時間五十五分に構成されたシェイクスピア劇は長すぎた。開演してからの一時間はまあ順調に進行していく。私の演出も彼等に咀嚼されて違和感など感じさせない。が、一時間が経過した頃から、途端にテンポが悪くなる。アーティキレーションが悪くなり一本調子のセリフとなる。演出もどこかへすっとんでしまい、常日頃彼等が馴染み、得意とする演技に変化する。(彼等はそれぞれホームグラウンドとする市民劇団に属していて、それぞれの創造活動を続けている)人間、疲れてくるとチャレンジを諦めて、自分が安心でき、それなりに評価されている処へ、自分を確保するのだ。と、私の演出はどこかへ消えてなくなる。今の彼等の可能性を拡げ豊かにする為の勉強会の講師を頼まれている私の出しゃばりが空回りを始める・・・ああ、いつになっても大人になれない餓鬼の私が、そこに居る・・・

二・・・と書いて、「あれ?」と筆が動かなくなる。そう、一、が全て。後は大同小異、一、のバリエーションにすぎない。そう、体験してもらいたい事、チャレンジして自分の可能性、豊かさを広げ現実にする為の共同作業は沢山ある。しかし、それは彼等の現実の生活の中での創造作業。押し付けはだめ、空廻りしている自分は愚の骨頂。

今回の経験から沢山の事を学んで、彼らの為のもっとよい講師になりたいと思う。

 

前回までは「猫の呟き」の後に、その○○という回数を加えていましたが、今回からはそれを止めました。

これから後、どのくらい創造活動が出来るかわかりませんが、私の創造活動が続く限り、この「猫の呟き」も月一回のペースで続けていきたいと思っております。これからもよろしくお願いします。