暑い。とにかく暑い。夏の暑さに弱い私にとって、今年のように、猛暑日が連続する中での、五ヶ年計画への準備は、もう、どう表現すればよいのか。

とにかく、暑さとの、自分との戦いである。第一年目「かなの女・寿じゅ」台本は完成、セリフも九分九厘覚えた。後は十月からの立稽古で、練り、具体化する段階までには進める事が出来た。

第二年目「てハムレット」台本は完成、今日現在(七月二十二日)セリフ覚えの段階に入ったばかり。七十六才の私にとって、記憶力は難敵中の難敵。覚えたと思う側から忘れていく。暑さと、覚えの悪い自分に対する憎悪で、イライラ、イライラ。心身両面に渡って、今年の夏を、大いに不愉快にしている元凶の最たるもの。それにも関わらず、私は今日も机に向かう。一つ一つ、早目に準備しなければ、五年間の試みは計画倒れになってしまう。そう、今の私には、早目早目に準備する以外に、自分の状況に立ち打ち出来ないのだ。

自分では早目の心算つもりでも、客観的に判断すれば、たぶん遅い部類に入るだろう。やりたい事を、現実のものにする為には、自分と戦い、夢を、願望を、現実化する為の、一つ一つの働きを、まず、たゆまず、毎日続ける外に道はないと思う。

そして、五ヶ年計画の準備で余裕が出来た時間を「ことのみ」の若い人達にあてて、演劇、演技の基礎を、少しでも体験させてあげたいと思う。そう、「教師」になる事は、私の若い頃の夢。何かを自分のものにしたいと、一生懸命励んでいる若者と、共同作業をするのは、本当に楽しい事だ。第三年目「五重塔」第四年目「土神ときつね」そして、第五年目「吾輩は猫である」が、今日も私を待っている。目的がある事は楽しい。と同時にしんどい。だからこそ遣りがいがある。さて、今日も、少しでも目的に向かって、歩み出そう。