高尾、陣馬迷走記

先日、久し振りに高尾山から陣馬山まで縦走した。しかし、その迷走振りたるや、自分でも驚く程。

AM5時40分に家を出た。同47分のバスで八王子駅へ。

そこから前もって調べておいた、①番のバス停より6時18分発陣馬高原下行きのバスに。と思いきや、陣馬高原下行きのバスなんて無し。

少し慌てたが、気を取り直して、バスの案内板で確認作業。が、陣馬高原下行きのバスなんてどこにも無し。

先ほどよりもう少し慌てて、駅前交番に飛び込む。交番のお巡りさんは丁寧に、何度も、何度も調べてくれる。その間に、時間は過ぎていく。前よりも、もっと慌てる。やがてお巡りさんの結論。「ありませんな。陣馬高原下行きのバスなんて有りません」そんな馬鹿な。以前、他所に住んでいた時に、ここ八王子から何度も陣馬高原下行きのバスに乗って縦走してるんだ。「もしかして、京王八王子から出ているのかも。そこへ行って調べてみたら」そこで止むを得ず歩いて京王八王子へ。

が、陣馬高原下行きのバスは無し。

が京王高尾を通るバスが有り、それが5分後に出る。それに乗る事に決めた。そして京王高尾から高尾山口へ。降りてトイレへ。そう、落ち着くにはトイレが一番。水を少し飲み歩き出す。

前を歩いていた二人連れが左折したので私もそれに倣って左折。きつい、本当にきつい。前を歩いていた二人が休んでいたので「やあ、きついですね。高尾山て、こんなにきつかったですかね」と話しかけたら「ここは稲荷山コースと言って、高尾山の色々なコースのうちでも一番きついコースです」との答え。私のおっちょこちょいは、いつになったら直るのやら。「馬鹿は死ななきゃ直らない」広沢虎造師匠がお答えになっている。フーフー言いながら頂上へ。一息着いて、バナナを食べて、お茶を飲んで歩き出す。本当にバテたが城山へ。山桜の花吹雪。「ああ、来てよかった」又バナナを食べて、持って来たフランスパンとチーズと納豆とコーヒーで軽い食事。「本当に、本当に、あなたに逢えてよかった」と山桜に感謝。何百分の一か、西行になった心持。ベンチにゴロリと横になり昼寝。どのぐらい寝ていたのか、目を開けるとまっ青な空が。「あー、山はいい!」気分一新、歩き出す。小仏峠を通り景信山へ。そういえば稲荷山コースで逢い、高尾山頂で再び逢った二人が言っていたっけ。「えっ、陣馬山まで縦走なんて、絶体無理。悪い事は言わないから途中で降りなさい。そうだ、景信山が丁度半分ぐらいだから、そこで降りなさい。そこで降りて小仏峠のバスで帰りなさい」その景信山がここ。でも、まだ大丈夫みたい。又々、バナナを食べて、フランスパン、チーズ、納豆、コーヒーで食事。気分一新(私は食べると気分一新出来るらしい)歩き出す。堂所山、明王峠。ここで小休止。気分一新。そしてついに陣馬山に到着。380度の見晴し。気分最高!草原にどっかりと腰をおろし、登山靴も脱ぎ、シャツも脱いで、ゆっくりと汗を拭き、ただただボンヤリと。無念夢想。唯々風、日光に身体を任せて。そして、ゆっくりと最後の食事を。(内容は以前とまったく同じ)のんびりと休んでバスの時刻表を見ると、2時25分PMのバスに間に合いそうだ。気分一新下山。

バス出発5分前に到着。汗臭いシャツ、下着、タオルを新しいものに替えて乗車。約40分ぐらいで高尾駅へ。「そうだ、序でだから八王子の街並みでも見て帰ろうか」と西八王子駅行のバスへ。そして西八王子駅から又バスを乗り換えて、バス停からゆっくりと歩いて我家へ。5時5分前。約11時間に渡る、迷走、珍道中であった。

追伸

後で聞くと、八王子駅からの陣馬高原下行のバスは、今はもう無いそうである。