その条件下でやれる事を一つ一つ大切に

七月二十五日(土)国立市芸小ホール地下スタジオで「むかしあったとさ」を上演した。

このコロナ禍の真っ最中、しかも直前に都の患者数が一日に三百名以上。もしかしたら中止という事態も頭を過った。長く演劇人生を送っているが、こんな宙ぶらりんの状態で本番を迎えるのは初めて。

当日、スタッフは一つ一つ感染対策を具体化していく。私は舞台稽古、本番を迎える為の準備に没頭。そう、一人一人が、自分の役割を確実にこなしていく事。観客に、役者の飛沫が飛ぶ事のないように最前列の座席は全てアウト。密にならないように観客間を広く空ける。役者間も、あまり近付かないように、ミザンスを変える。(こんな作業も初めて)

さて、開演。始まってみると妙なもので、いままでと変わらぬ役者同志、観客との交流が。

やってよかった!

終演後、又は後日の観客の感想も、そうした私の自信を裏付けてくれる。

さて、このコロナ禍、はたしていつ終息するやら。たぶん長期戦を覚悟しなければ。

次の日「むかしあったとさ」の新しい台本を書き始めた。

そう、公演は稽古の始まり。もっともっと面白い、自分らしい舞台を創りたい。

その意欲、行動力が有る限り、私の演劇人生は続くだろう。

秋に予定している「起てハムレット」来年予定の「五重塔」の一人芝居。来週から再度稽古を始めよう。

そう、やりたい事は山程有る。でも、自分の条件下で、一つ一つ確実に。それが人生、生きる事。