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猫の呟き 一覧

猫の呟き

久し振りで三人全員出演の30周年記念公演の稽古をしている。

その前に三人全員で舞台に立ったのは2014(平成26年)12月12日、芸小スタジオ「真贋ロミオとジュリエット」公演。つまり、今度の30周年記念公演は3年9ヶ月振りのオールキャスト公演という事になる。

久し振りの「宮沢賢治」作品なので始めは少々戸惑う所もあったが、その戸惑いもあっという間に解消。さすが三人での舞台は面白い。それぞれが、それぞれの方法で楽しそうに「遊んで」いる。息もピッタリ。

30年前の稽古、稽古の連続で、休憩になると稽古場の板の間に三人グッタリと身体を投げ出して、死んだように疲れを取っていた姿が、まるで昨日の事のように頭を過る。そう、三人が全力を出し切って創り続けて来た30年。私達の掛け替えのない人生。決まり文句のようだが、長くて、そして、あっという間の30年・・・。そう、その時々は無我夢中の毎日の連続であった「くすのき」の三十年、そして我が人生・・・。色々な想いが身体の中を過ぎていく。

あと十二日。三人共、大いに観客と共に楽しもう。

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暑い。とにかく暑い。夏の暑さに弱い私にとって、今年のように、猛暑日が連続する中での、五ヶ年計画への準備は、もう、どう表現すればよいのか。

とにかく、暑さとの、自分との戦いである。第一年目「かなの女・寿じゅ」台本は完成、セリフも九分九厘覚えた。後は十月からの立稽古で、練り、具体化する段階までには進める事が出来た。

第二年目「てハムレット」台本は完成、今日現在(七月二十二日)セリフ覚えの段階に入ったばかり。七十六才の私にとって、記憶力は難敵中の難敵。覚えたと思う側から忘れていく。暑さと、覚えの悪い自分に対する憎悪で、イライラ、イライラ。心身両面に渡って、今年の夏を、大いに不愉快にしている元凶の最たるもの。それにも関わらず、私は今日も机に向かう。一つ一つ、早目に準備しなければ、五年間の試みは計画倒れになってしまう。そう、今の私には、早目早目に準備する以外に、自分の状況に立ち打ち出来ないのだ。

自分では早目の心算つもりでも、客観的に判断すれば、たぶん遅い部類に入るだろう。やりたい事を、現実のものにする為には、自分と戦い、夢を、願望を、現実化する為の、一つ一つの働きを、まず、たゆまず、毎日続ける外に道はないと思う。

そして、五ヶ年計画の準備で余裕が出来た時間を「ことのみ」の若い人達にあてて、演劇、演技の基礎を、少しでも体験させてあげたいと思う。そう、「教師」になる事は、私の若い頃の夢。何かを自分のものにしたいと、一生懸命励んでいる若者と、共同作業をするのは、本当に楽しい事だ。第三年目「五重塔」第四年目「土神ときつね」そして、第五年目「吾輩は猫である」が、今日も私を待っている。目的がある事は楽しい。と同時にしんどい。だからこそ遣りがいがある。さて、今日も、少しでも目的に向かって、歩み出そう。

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来年から毎春一作品ずつ、一人芝居を上演する計画を立て、ホームページに出してもらった。変なもので公言すると責任が湧いてくる。途端に元気が出てくる。責任感、プレッシャーは創る上での大きな原動力なのであろう。その第一弾としてエウリピデス作のギリシャ悲劇『メデイア』と謡曲『(かな)()』とを基にした『(かな)()の女、()寿(じゅ)()』に取り掛っている。稽古台本は出来た。何とセリフも(ほぼ)覚えた。えっ、だって上演は来春なんでしょう。そう、上演は来春を予定している。しかし、ここからが大変。今日までの作業は土台の土台を作る作業。夫の心変わりの復讐の為に、我が子を殺す。何故。その心象風景を舞台上で表現する。それも一人舞台で。何を、どうすれば、それは可能なのか。その作業の為の土台の土台作りが一段落した。今日までの作業を報告すると、まあ、こんなところか。それにしても手書きとは、記憶する為には何と偉大な力を発揮する事か。多分四十五分ぐらいの舞台になると思うが、それを書いて、録音し、聞き、又書き直し、それを少なく見積っても十五回位はやったと思う。と、約十日間ぐらいの稽古でセリフは全部覚えられた。もしかしたら、便利でなく不便な方が、年を取った人間が演劇をする為には有利なのかも知れない。これが一段落したら(多分八月か九月頃から)次の作品『起てハムレット』に取り掛かるつもりである。とにかく予定の五年後(つまり八十一才まで)は自分の条件を考慮に入れつつ歩き続けよう。

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五月二十五~二十七日「ことのみ」という市民サークルから頼まれて、一日一ステージずつの「夢・マクベス」という芝居を演出した。市民サークルの創造についての諸々の課題を突き付けられた。

一、時間の制約。稽古は月一回、午前九時~午後五時までの八時間。上演間近になるとそれが二回、その上に自分達だけの自主稽古が週一回の割合で入ってくるそうだ。今回は、昨年三月から稽古が始まったので十五ヶ月間で三十二回。つまり平均すると月二回、十六時間の稽古という事になる。(その上に彼等だけの自主稽古が加算される)

それでも今回の一時間五十五分に構成されたシェイクスピア劇は長すぎた。開演してからの一時間はまあ順調に進行していく。私の演出も彼等に咀嚼されて違和感など感じさせない。が、一時間が経過した頃から、途端にテンポが悪くなる。アーティキレーションが悪くなり一本調子のセリフとなる。演出もどこかへすっとんでしまい、常日頃彼等が馴染み、得意とする演技に変化する。(彼等はそれぞれホームグラウンドとする市民劇団に属していて、それぞれの創造活動を続けている)人間、疲れてくるとチャレンジを諦めて、自分が安心でき、それなりに評価されている処へ、自分を確保するのだ。と、私の演出はどこかへ消えてなくなる。今の彼等の可能性を拡げ豊かにする為の勉強会の講師を頼まれている私の出しゃばりが空回りを始める・・・ああ、いつになっても大人になれない餓鬼の私が、そこに居る・・・

二・・・と書いて、「あれ?」と筆が動かなくなる。そう、一、が全て。後は大同小異、一、のバリエーションにすぎない。そう、体験してもらいたい事、チャレンジして自分の可能性、豊かさを広げ現実にする為の共同作業は沢山ある。しかし、それは彼等の現実の生活の中での創造作業。押し付けはだめ、空廻りしている自分は愚の骨頂。

今回の経験から沢山の事を学んで、彼らの為のもっとよい講師になりたいと思う。

 

前回までは「猫の呟き」の後に、その○○という回数を加えていましたが、今回からはそれを止めました。

これから後、どのくらい創造活動が出来るかわかりませんが、私の創造活動が続く限り、この「猫の呟き」も月一回のペースで続けていきたいと思っております。これからもよろしくお願いします。

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プロフィール

演劇企画「くすのき」は1988年(昭和63年)に、大多和勇、あきなんし、高塩景子の三人で結成。語り芝居という表現方法で宮沢賢治、夏目漱石、説経節作品を上演。2015年7月東京都国立市に劇団事務所移転。代表高塩景子

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